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魚の下処理(自宅で行う2通りの工程)

私の趣味は釣りだ。主に遊漁船(乗合船)に乗って四季の釣りものを追いかけている。
釣れてくる魚は生きているから鮮度は抜群。そして魚体の痛みも少ない。特に刺身などの生食で味わうなら、釣りたての魚は最高レベルの食材と言える。

但し、生ものなので扱いが悪いとすぐに劣化してしまう。生食どころか、最悪食あたりの危険もある。最高の食材にするには、下処理が重要となるのだ。

ここでは、釣って持ち帰った魚を美味しく頂くための下処理について備忘も兼ねて投稿する。
基本は以下の流れだ。

1.事前チェック

魚種ごとに違いがあるので、最初に下記の点をチェックする。

※このテーブルは右にスクロールする。

no. Checkpoint 詳細
1 危険部位 歯やひれ、棘など怪我の原因や処理の妨げになる部分を確認
2 ヌメリ ヌメリ取りが必要か否かを確認
3 ウロコ 硬さや形状によりウロコ取りの道具を決定
4 硬さをチェック
5 背骨や腹骨の付け根を中心に硬さをチェック
6 身質 柔らかさをチェック

(ネット上の情報で大体の特徴はつかめるが)骨や身質など、実際に捌いてみないと分からない部分もある。だが、魚体の外観や魚体に触れて分かった情報に基づき、あらかじめ処理方法や道具を考えておくと後工程が楽になる。特に危険部位の確認は、安全に処理を進める上で必須だ。

鯵やシロギスのように一見何の問題もなさそうな魚でも、尻のトゲやひれが手に刺さって出血→作業中断などのトラブルはよくあること。魚種に加え、量も勘案して工程や道具を決めていく(数が多いとどうしても処理が雑になりがち。結果、ミスをし易い)。

2.下処理工程(自宅編)

釣り場で行っている下処理は脳締めと血抜き、そして海水氷による保冷だ。
持ち帰る魚は全て、釣った直後に血抜きを行う。最近ではシロギスや小鯵、連子鯛など10~15cm程度の小魚以外は脳締めも行うようにした(脳締めしない魚は、エラから脊髄を破断)。

持ち帰り後の下処理工程は、熟成する場合としない場合とで2パターンに分かれる。
それぞれの工程をまとめると、下表の通りとなる。

2-1.通常工程

釣り上げてから3日目の鯵

熟成を行わない場合の下処理工程は以下の通り。
釣り人なら、よく見かける工程だと思う。

※このテーブルは右にスクロールする。

no. 工程 特記事項等
1 ヒレ・トゲなどの除去 魚種による
2 ヌメリ取り 魚種による
3 ウロコ取り ウロコの硬さ、大きさにより処理法を決定
4 エラ・内臓の除去
5 脱水/寝かせ 余計な水分とドリッブを除去

上記の工程でも、ほとんどの魚は釣り上げて3日目くらいまでなら刺身で美味しく食べられる。
(流石に鯖は怖いので、即日処理して冷凍してしまうが)

但し、3日を過ぎるととたんに劣化が目につくようになる。身が変色しはじめたり、皮目が油焼けしてきたり、臭いがきつくなったり…鰺や太刀魚の場合、通常の下処理では3日を過ぎると生食は厳しいと思う。

釣り上げてから3日以降も美味しい刺身を堪能する方法は無いのか?…とあれこれ調べた結果見つけたもの。それが下記熟成用の処理だ。

2-2.熟成用工程

釣り上げてから4日目の甘鯛とカサゴ

黙って2~3日は熟成させ、刺身等の生食で食べる場合の下処理工程は以下の通り。

※このテーブルは右にスクロールする。

no. 工程 特記事項等
1 ヌメリ取り 魚種による
2 ヒレ・トゲなどの除去 魚種による
3 究極の血抜き(ホースのみ) 熟成させる魚限定
4 エラ・内臓の除去
5 脱水/寝かせ 余計な水分とドリッブを除去

ホースを使った「究極の血抜き」は、最近やり始めた。
究極の血抜きとは、宮崎県の水産会社に勤務している津本光弘さんが公開しているノウハウで、高圧の水を魚の動脈に送水し、血管内に残った血を抜くというもの。

津本さんは究極の血抜きに関するノウハウを惜しげもなくYouTubeで公開しているので、興味が湧いたら是非チェックしてみて欲しい。下記にYouTubeチャンネルのリンクを貼っておく。

究極の血抜き津本式(YouTube)

究極の血抜きを行った甘鯛を釣り上げて4日後に刺身にして食べてみたのだが、臭みは全く無く、色も真っ白なまま。しかしねっとり食感と旨味が強烈にアップした絶品を堪能出来た。今後もいろんな魚で試してみようと思っている。

津本さん曰く、熟成させるならウロコは取らない方が良いとのこと。そのため、ウロコ取りのタイミングはおろす時(食べる時)になる。ここも従来の工程とは異なる点だ。

3.脱水/寝かせ

海釣りにハマってからというもの、1年間でさばく魚の数は100匹を下らない。正確に数えてはいないが、おそらく年間200~300匹程度だと思う(鯵やシロギス、太刀魚など、比較的数が釣れる釣りものも狙っているから)。

そこそこの数をさばいてきた経験から実感しているのが、「血抜きが出来ていれば、最重要工程は脱水/寝かせ」ということだ。その理由は、下処理後の魚から出る水分(水やドリップ)、そして保存中の空気が魚の劣化の原因となるからだ。

よって不要な水分や空気を取り除く必要があるのだが、脱水や寝かせの工程を丁寧に解説している情報は少ない。「水気をふき取り、冷蔵庫で保管」…といった内容がほとんどではないだろうか。

参考までに、私が現在行っている脱水/寝かせの工程を以下に記す。

※このテーブルは右にスクロールする。

no. 工程 特記事項等
1 脱水 ザルや鍋に魚を頭を下にして立てかけ、20~30分脱水を行う
2 水分の拭き取り キッチンペーパーで魚体の水分を拭き取る(表面/腹腔内等全て)
3 魚体の包装 キッチンペーパーで魚体を包む(あらかじめ腹腔内にはキッチンペーパーを詰めておく)
4 袋に入れ、真空状態にする 袋の中の空気をストローなどで抜き、真空状態にする
5 寝かせ 冷蔵庫で保管。キッチンペーパーがびしょぬれになったら交換

上記工程の中でポイントとなるのは、工程1の脱水と工程4の真空保存だ。
それぞれの工程について、下記に補足しておく。

3-1.脱水

魚の脱水状況(鯵)

脱水中の鯵。頭を下にして30分ほど立てかけておき、水分を抜く。

水洗い後の魚は、すぐに水気をふき取るのではなく魚体を立てて30分ほど放置し、水を抜く。
魚体の水分をふき取り、寝かせに回すのはその後だ。

たったこれだけで、水分の抜けが全然違う。魚体にもよるが、50cmオーバーの甘鯛でも一晩おいておけば水気は収まる。水洗い後一晩どころか、2~3日経っても水分が抜けず、何度もキッチンペーパーを交換…といったことはなくなった。

脱水に要する時間が削減出来るということは、冷蔵庫の占有時間を削減出来るということでもある。熟成する魚以外はさっさと保存に回せるのは大きなメリットだ。他の食材が入らないと家族からクレームを受けることもなくなる。

以上の理由から、脱水にひと手間掛ける価値は大いにあると思う。

3-2.真空保存

袋を真空状態にした魚の保存状況(イシモチ)

真空保存状況(イシモチ)。袋の空気はストローで抜いた。

そして次のポイントは、魚を入れる袋の空気を抜き、真空状態にすることだ。
とは言え、真空パック機などを使っているわけではない。ストローなどで袋の中の空気を吸い出しているだけだ。
(キッチンペーパーの交換などで袋を開けた際には都度空気を抜き、真空状態を維持する)

真空保存をするようにしてからというもの、魚体の臭みを気にすることがなくなった。究極の血抜き無しでも、鯵の場合は釣り上げてから3日目まではほぼ無臭だ。当然身質も良好なので、美味しい刺身を頂けている。先日、釣り上げてから4日目のカサゴを刺身にしたが、美味しい状態を保ったままだった(もちろん臭いもなし)。

ストローやホースなどの家庭にある道具で、所要時間は1分程度。実に簡単な工程だ。
真空保存も、ひと手間掛ける価値は大いにあると思っている。

手間と美味しさとはトレードオフの関係にある

究極の血抜きを行った甘鯛(釣り上げてから3日後)。臭みは一切なく、身質は良好だった。

魚の下処理は、正直結構な手間が掛かる。
時間も含め、コストも掛かる。

だが、今までの経験から言うと手間を掛けた分だけ美味しく頂けるのは間違いない。

魚の下処理で最も重要なものは「慣れ」だ。
処理のスピードも、仕上がりも、数をこなすことでレベルアップする。

釣った魚を美味しい状態で長く保存出来れば出来るほど、美味しい料理を食べられる時間が長くなる。無駄もなくなるし、無理に消費することもなくなる。

釣った魚は本当に美味しい…この事実を知って貰えば、家族など周囲の視線も変わる。
堂々と釣りを楽しみ、釣った魚を堪能するためにも魚の下処理はキッチリ行うべきだと思っている。

繰り返しになるが、ほとんどの問題は「慣れ」が解決してくれる。
あなたも是非、チャレンジしてみて欲しい。

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