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「行動の記録」
それは、「進化の記録」でもある。

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関孫六 銀寿ST・出刃150㎜(左利き用)使用記録②

この投稿は、貝印の「関孫六 銀寿ST 出刃包丁150mm」を使い、カワハギと太刀魚をさばいた結果をまとめたものだ。

使用者の技量(さばく技術や包丁研ぎのスキル)や環境(まな板等、包丁以外の使用機材)により、結果は変わってくると思う。よってあくまで一例に過ぎないが、本商品を検討している方の参考になれば幸いだ。

テストの概要

持ち帰ったカワハギ

銀寿STの出刃を使い、カワハギ28匹と太刀魚2匹を実際にさばいてみた。
自家消費用なので、全てを一度に捌いた訳ではない。今回は5回に分けて作業を行った。詳細は下に記入しておくが、いちいち見る必要のない人がほとんどだろう。なので先に概要を記しておく。

なお、包丁のメンテナンスに使う砥石はシャプトン「刃の黒幕」(中砥#1500/仕上げ砥#5000)、貝印コンビ砥石(荒砥#400)、面直し用の砥石は中砥がスエヒロ修正砥石WA300 (中~仕上砥石修正用)、仕上げ砥の面直しには貝印コンビ砥石の中砥(#1000)を使用した。

作業内容、及び数量

対象は先述の通り、カワハギ28匹と太刀魚2匹。大きさはカワハギが15~30cm、太刀魚が80~90cmだ。
出刃包丁を使った作業内容(工程)は下表の通り。

※このテーブルは右にスクロールする。

no. 作業内容 数量
カワハギ 太刀魚
1 危険部位の除去※1 28匹 2匹
2 頭落とし&内臓出し 28匹 2匹
3 三枚おろし 13匹 2匹
4 腹骨除去 13匹 2匹
5 アラ解体※2 28匹 2匹

※1:危険部位とは、カワハギは角。太刀魚は歯を指す。いずれも出刃の刃元で切断する。
※2:カワハギは口を出刃の刃元で落としてから梨割り。太刀魚は背骨を切断

切れ味/長切れチェック

作業開始時点から終了時までの切れ味の変化や刃欠け/刃こぼれの有無を以下に記す。

※このテーブルは右にスクロールする。

no. Checkpoint 結果
1 作業回数 5回
2 切れ止みまでの処理数(アラ) カワハギ:平均6.25匹 太刀魚:1匹
3 切れ止みまでの処理数(身) 切れ止み無し
4 刃欠け/刃こぼれ 5回
5 作業中断(切れ止みによる研ぎ直し等) 3回
6 研ぎ直し回数 8回

ご覧の通り、作業の度に刃こぼれが発生した。切れ止みによる作業中断も3回発生している。
いずれも硬い部位を切断した結果ではあるが、あまりに酷い結果となってしまった。

テストの総括/アクションプラン

危険部位やアラの処理をする度に刃こぼれが発生し、作業中断を余儀なくされた。原因は刃元の研ぎ方も大きいと思うが、そもそも以前の包丁と比べると刃こぼれや切れ止みの頻度が多過ぎる。

「同じ人間が・同じ研ぎ方で・同じさばき方で」魚をさばいたにもかかわらず、トラブルの頻度が違う。となれば、原因は包丁自体の性能差になるはず。硬い部位をガンガン切断するような使い方をする場合には、この点は考慮すべきだと感じた。

課題は刃こぼれの低減。アクションプランは刃こぼれを低減する刃付けを行うことだ。
刃付けに関してはプロに頼むか自分でやるかの二択となるが、私は自分で最低限の刃付けが出来るよう、研ぎのスキルを磨くこととした。

なお、先述の通りテストは5回に分けて行っている。
詳細に興味があるなら、下記も併せてご覧頂きたい。

テスト1回目(カワハギの処理)

新年1発目のテストはカワハギ6匹。大きさは15cm~25cm程度だ。
今回は単独釣行で、ツ抜けを目標に頑張ったのだがイマイチな結果だったため、翌日に家人と2人でリベンジ釣行が決定。そのため、肝の取り出しを優先して下処理だけを行った。詳細は下表の通り。

作業内容、及び数量

作業内容(工程)は下表の通り。
先述の通り、翌日も釣行が決まったため下処理のみ実施した。

※このテーブルは右にスクロールする。

no. 作業内容 数量
カワハギ 太刀魚
1 危険部位の除去※1 6匹 0匹
2 頭落とし&内臓出し 6匹 0匹
3 アラ解体(口を落とし、梨割り) 6匹 0匹

切れ味/長切れチェック

作業開始時点から終了時までの切れ味の変化や刃欠け/刃こぼれの有無を以下に記す。

たった3匹の処理で作業中断が発生…研ぎ方にも問題があるのだろうが、今まで使っていた金寿STに比べるとタフさは無いように感じる。峰の厚さや重量は明確に異なるが、やはり鋼材も違うのだろうか?

※このテーブルは右にスクロールする。

no. Checkpoint 結果
1 切れ味の変化 角の切断途中で切れ止む
2 刃欠け/刃こぼれ 有り(刃こぼれ)
3 作業中断 1回
4 作業後の処理 研ぎ直し

私の場合、カワハギの下処理で最初に行う作業は危険部位の除去。具体的には背中に生えているトゲを切断する。この時もいつも通り作業を始めたのだが、4匹目でトゲが切れなくなる。何度包丁の峰を叩いてもダメ。見てみると、刃元部分が酷く刃こぼれしている。

刃こぼれした出刃の刃元

刃こぼれした出刃の刃元。カワハギの処理は刃こぼれとの戦いだった。

急遽購入したての刃の黒幕#1500で刃こぼれを修正しつつ研ぎ直し(本来なら荒砥を使った方が良いのだが、荒砥を水に浸けて待っている時間も惜しかった)。

研ぎ直し後に残ったトゲを切断。頭を落として肝を取り出し、口を落とし、皮を剥いで梨割りして本日の作業は終了。口を落とす際にも切れ止みを感じたので、作業終了後に再度刃の黒幕#1500で研ぎ直しを行う。

テスト2回目(カワハギと太刀魚の下処理)

頂き物の太刀魚。

カワハギ釣行2日目。家人と2人で挑んだものの、結果は3匹と実に厳しい釣果に終わる。
カワハギ船は厳しい釣果だったものの、今シーズンは太刀魚が絶好調。船宿から、太刀魚を2匹お土産に頂いた。指5本サイズの立派な太刀魚だ。

連戦で疲れがピークに達しているので、カワハギ・太刀魚とも下処理のみ実施した。

作業内容、及び数量

対象は、カワハギ3匹と太刀魚2匹。大きさはカワハギが20cm前後、太刀魚は80~90cmだ。

※このテーブルは右にスクロールする。

no. 作業内容 数量
カワハギ 太刀魚
1 危険部位の除去※1 3匹 2匹
2 頭落とし&内臓出し 3匹 2匹
3 アラ解体(口を落とし、梨割り) 3匹 0匹
4 ぶつ切り(冷蔵保存するため) 0匹 2匹

切れ味/長切れチェック

作業開始時点から終了時までの切れ味の変化や刃欠け/刃こぼれの有無は以下の通り。

まずはカワハギからさばいたのだが、刃元の研ぎ方が悪いせいか、先日同様トゲの除去で刃こぼれ発生。カワハギの処理終了後には完全に切れ止んでいたため、太刀魚の処理の前に研ぎ直すこととなった。

※このテーブルは右にスクロールする。

no. Checkpoint 結果
1 切れ味の変化 カワハギ3匹で完全に切れ止む
2 刃欠け/刃こぼれ 有り(刃こぼれ)
3 作業中断 1回
4 作業後の処理 研ぎ直し

悪いのは研ぎ方…それは分かっている。だが、今までたったの3匹で刃こぼれした経験が無いのでとまどってしまう。

取り敢えず刃こぼれを修正して太刀魚をさばいたのだが、頭を割ろうと包丁を当てたときに刃が食い込まない。力づくで頭を割ることは出来ると思うが、また刃こぼれしたら…と完全にチキン状態になっている自分に気付く。

今回は太刀魚の頭は割らずに使用することとし、本日の作業は終了。

テスト3回目(カワハギの大名おろし)

3回目のテストは、先日下処理を終えたカワハギの大名おろしと腹骨のすき取り。
硬い部分の切断は無いので、大きな問題は発生しないと思うが…作業詳細は下表の通り。

作業内容、及び数量

対象は、カワハギ5匹。
カワハギの肝和え用の卸身作成が今日のミッションだ。

※このテーブルは右にスクロールする。

no. 作業内容 数量
カワハギ 太刀魚
1 大名おろし 5匹 0匹
2 腹骨除去 5匹 0匹

切れ味/長切れチェック

作業開始時点から終了時までの切れ味の変化や刃欠け/刃こぼれの有無は以下の通り。
さすがに大名おろしと腹骨のすき取りではトラブルは発生しなかった。

※このテーブルは右にスクロールする。

no. Checkpoint 結果
1 切れ味の変化 無し
2 刃欠け/刃こぼれ 無し
3 作業中断 無し
4 作業後の処理 研ぎ直し

テスト4回目(太刀魚の処理)

4回目のテストは、頂き物の太刀魚だ。詳細は下表の通り。

作業内容、及び数量

対象は、太刀魚2匹。指5本サイズで身もたっぷりなので2回に分けて美味しく頂いた。
作業内容は、タチしゃぶ用の卸身と炙り用の卸身作成だ。

※このテーブルは右にスクロールする。

no. 作業内容 数量
カワハギ 太刀魚
1 大名おろし 0匹 2匹
2 腹骨除去 0匹 2匹
3 アラ解体(背骨の切断) 0匹 2匹

切れ味/長切れチェック

作業開始時点から終了時までの切れ味の変化や刃欠け/刃こぼれの有無は以下の通り。

※このテーブルは右にスクロールする。

no. Checkpoint 結果
1 切れ味の変化 背骨の切断で切れ止む
2 刃欠け/刃こぼれ 有り(刃こぼれ)
3 作業中断 無し
4 作業後の処理 研ぎ直し

作業中断は無かったものの、最後の背骨の破断で刃こぼれ発生。柔らかい関節を狙って切っているのだが…

カワハギで刃こぼれしてからというもの、刃元はキンキンには研いでいない。加えて、銀寿STは結構な2段刃となっている(鎬筋を砥石にピタッと当てると刃先が浮く。反対も同様)。それなのに、毎回たった数匹の処理で発生する刃こぼれ…悩ましい事態に陥った。

テスト5回目(カワハギの処理)

持ち帰った一尺サイズのカワハギ

持ち帰った尺ハギ。肝も身もたっぷり取れるので最高の獲物と言える。

余談だが、土日祝の釣り船は通勤電車のように感じないだろうか?

個人的には、お隣さんとの距離が近過ぎると凄くストレスを感じる。同じ船に乗り合わせた釣り人同士の会話は楽しいし、良型が釣れれば他の釣り人の時でもテンションが上がる。だが、釣り座がすぐ隣というのは何回乗ってもストレスを感じる。

なので、ゆったりとした空間で釣りに集中出来る平日釣行は、自分にとっては年に何度かの貴重な時間だ。

今回のテストは、そんな貴重な平日釣行でゲットしてきたカワハギ19匹。
尺超えを筆頭に、9匹が20cmオーバーと型にも恵まれた。

今回に備え、包丁の研ぎ方も色々と試してみた。具体的には、刃元部分を2段刃にして研いだつもりだ。作業詳細は下表の通り。

作業内容、及び数量

作業内容(工程)は下表の通り。

前回は大名おろしにしたのだが、大名おろしの割にはそう簡単でもなかったこと(カワハギは、背びれの付け根や背骨が隆起しているので背骨に身が残り易い)。加えて、先生が簡単そうに三枚おろしを実演していたので今回から三枚おろしに変更した。

カワハギの三枚おろし

カワハギの三枚おろし。未だ練習中だが、慣れれば大名おろしより簡単かつ綺麗におろせると思う。

※このテーブルは右にスクロールする。

no. 作業内容 数量
カワハギ 太刀魚
1 角の除去 19匹 0匹
2 頭落とし&内臓出し 19匹 0匹
3 アラ解体(口を落とし、梨割り) 19匹 0匹
4 三枚おろし 13匹 0匹
5 腹骨除去 13匹 0匹

※危険部位の除去からアラ解体までは一気に作業したが、三枚おろしと腹骨除去は消費の都度(計3回)実施した。

切れ味/長切れチェック

作業開始時点から終了時までの切れ味の変化や刃欠け/刃こぼれの有無を以下に記す。
まずは小型(20cm以下)のカワハギ10匹から処理を行い、その後大型(20cm~30cm)9匹の処理を行った。

※このテーブルは右にスクロールする。

no. Checkpoint 結果
1 切れ味の変化 口の切断途中で切れ止む
2 刃欠け/刃こぼれ 有り(刃こぼれ)
3 作業中断 1回
4 作業後の処理 研ぎ直し

まずは小型カワハギ10匹の角を落とす。角落としは何とかクリア(若干、刃こぼれ発生)。次の頭落としもクリア。使う部位が刃元ではなく刃の真ん中から切っ先になることもあり、問題なく背骨を破断出来た。

だが、次の口落としで刃元が全く切れなくなる。いくら押しても叩いても切れず、途中まで刃が入ったら刃がついている部分を使ってのこぎり引きせざるを得なくなった。カワハギの皮は、昔ヤスリの代わりに使われていたという。そんな皮をのこぎり引きすれば、未だ切れる部分の刃もどんどんなまくらになっていく。

梨割りは小型で骨が柔らかいからか何とかクリア出来たものの、包丁を見るとあちこちが刃こぼれを起こしていた。
ここで作業を中断。荒砥で刃こぼれを取り、刃の黒幕#1500で研ぎ直し。

続いて、大型のカワハギ9匹の処理に移る。作業工程は小型カワハギと同じだ。

角落としはクリア。気にしていた刃こぼれはなし。頭も何とかクリア。尺ハギが異様に硬く苦戦したが、欠けや折れは無し。

だが、やはり口落としでつまずく。2~3匹の口を落としたところで刃元が全く切れなくなる。無理矢理叩いてのこぎり引きの繰り返し。

梨割りは何とかクリア。当たっている部分が刃の切っ先から中心部分だからだろう。しかし、処理後の包丁は又も全体的に刃こぼれを起こしていた。再度荒砥で刃こぼれを取り、刃の黒幕#1500で研ぎ直し。

ちなみに、三枚おろしと腹骨のすき取りは消費の都度(計3回)行ったが、刃欠け/刃こぼれはもちろん切れ止みも一切なかった。

鬼門となるのは、やはりトゲと口(口というより皮だと思う)の切断だ。

テストの総括とアクションプラン

一言で言えば、刃こぼれ続きのテストだった。

カワハギのトゲや口(皮)、太刀魚の骨は確かに硬めだ。こうした部位の切断は、包丁に結構な負担が掛かるのは間違いないだろう。だが、どんな包丁でもこんなに早く刃こぼれして切れ止むかというとそんなことはない。

私は今まで金寿STで結構な数のカワハギや太刀魚をさばいてきたが、5~10匹程度のカワハギや太刀魚の処理で切れ止んだことは無い。流石に、カワハギを皮付きのまま3枚おろしにしたときは刃こぼれを起こしたが、切れ止むまでには至らなかった。

「同じ人間が・同じ研ぎ方で・同じさばき方で」魚をさばいた時、長切れ具合に大きな差が出た。となれば、原因は包丁自体の性能差になるはず。金寿STと比較して思ったのは、鋼材と重量が影響しているのではないかということだ。

ただ、貝印のサイトを見ると、金寿ST/銀寿ST共に刃材は「ハイカーボンモリブデンステンレス刃物鋼」と表記されている。各々の切れ味は全然違うと感じるのだが、鋼材自体は全く同じなのかもしれない。

しかし、重量は明らかに異なる。銀寿STの重量は171g。対して金寿STは242gと71gもの差がある。たった71gと思うかもしれないが、実際手に取ると本当に71gしか違わないのか?と思えるくらい重さが違う。アラ処理のように包丁の重みも利用して切断する場合、この差が大きく影響しているではないかと思う。

今後の課題、及びアクションプランは下記の通りだ。

今後の課題

基本的な和包丁の研ぎ方ー鎬筋を砥石に当てて切り刃全体を研ぐーという方法の場合、刃先は鋭角になる。鋭角になればなるほど切れ味は良くなるが、その反面脆くなる。脆い刃先は、刃欠け/刃こぼれ等のトラブルが発生しやすく、長切れしない。

よって、刃欠け/刃こぼれ等のトラブルを防ぐためには、小刃付けやハマグリ刃など、トラブルに強い「刃付け」が必要になる。実行の方法は2つ。1つ目の方法は、プロに頼むこと。もう1つの方法は、包丁研ぎのスキルを上げて自分で対処することだ。

しかし、釣り人のように短時間で大量の魚をさばく必要がある人間にとっては、包丁が切れ止むたびに研ぎに出しているようではいつまで経っても処理が終わらない。仕事や生活に支障が出るし、何よりせっかくの魚がダメになってしまう。

定期的にプロにメンテナンスして貰うのは良いことだと思うが、日常的な手入れは自分で行えるように練習を重ねるのがベストだと思う。

アクションプラン

課題の所で既に書いてしまったが、アクションプランは刃付けを行うこと。

それ以外の選択肢は、より長切れする包丁に買い替えるか、アラ処理には使わない(アラ処理には別な包丁を使うか、アラは魚屋でさばいて貰うなど)になるだろう。

個人的には、日常的な手入れは自分で出来た方が良いと思っている。なので、私のアクションプランは包丁研ぎを練習して刃付けを身に付けること。まずは小刃付けを練習し、次回のテストで切れ味の変化を確認してみようと思う。

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